口腔

口腔内の代表的な疾患としては以下のようなものがあります

・口内炎

口腔粘膜に生じる痛みを伴う円形または楕円形のできものです。

原因;はっきりとした原因がないことも多いですが、ウイルスや細菌の感染、ビタミン不足、外的刺激、ストレス、自己免疫性疾患などが報告されています。

治療;ステロイド軟こうなどの外用薬が有効です。口腔内を清潔に保つことが大切です。

通常は2週間程度で治癒する予後良好な疾患ですが、まれにベーチェット病など全身疾患の症状や悪性腫瘍の場合もあり、長引く場合は注意が必要です。

・味覚障害

何を食べても味がしない(味覚脱失)、味が薄い(味覚減退)、特定の味がわからない(味覚乖離)など症状は多岐にわたります。

原因;亜鉛欠乏、貧血などが頻度として多いですが、原因がわからないこと(特発性)も少なくありません。その他、真菌感染、加齢によるもの、精神的な要因によるもの、内服薬の副作用などがあります。

診断;亜鉛欠乏や貧血などは血液検査で診断可能です。

治療;亜鉛、貧血が原因であれば、内服薬の治療で改善します。

・ガマ腫

舌下腺という唾液腺にできるのう胞(液体がたまった袋)です。

主な症状は舌の下側の腫れで、痛みを伴うことはほとんどありません。

原因;何らかの原因で舌下腺からの唾液が漏れ溜まることで生じます。

診断;CTやMRIで評価を行います。腫れている部分の中身を吸引し、検査で唾液の成分を認めれば確定診断となります。

治療;小さいもので腫れにより困ることがなければ経過観察することもあります。

袋に薬剤を注入する硬化療法、手術による摘出などがあります。

・口腔内腫瘍

①良性腫瘍

さまざまな種類の腫瘍があります。頻度として多いのは乳頭腫、血管腫、繊維腫などです。

診断;MRI検査、組織の生検を行い診断を行います。
治療;組織により治療方針は異なります。多形腺腫、エナメル上皮腫などは悪性化することもあり、手術が望ましいとされています。

②悪性腫瘍

口腔内の悪性腫瘍(癌)の中で最も多いのは舌癌です。発症年齢は5~60歳代、男女比は2:1程度です。歯が接触することが原因となりやすく、舌の側面にできることが大半です。

症状;初期には無症状ですが、進行すると違和感、しこりの自覚、しみる、痛みなどの症状が出現します。転移が生じると、首のリンパ節が腫れることもあります。

診断;生検で悪性かどうかの診断、CT、MRIで腫瘍の大きさ、リンパ節転移、他の臓器への転移を評価し、進行度を評価します。

治療;切除可能であれば、手術が第一選択です。初期の舌癌で施設によっては放射線療法(小線源療法)を行っていることもあります。

舌癌はリンパ節転移をおこしやすいため、頸部のリンパ節をとる手術(頸部廓清術)も行うことがあります。進行した舌癌の場合は、術後に化学療法、放射線療法を行うこともあります。