甲状腺

甲状腺疾患

甲状腺は首の真ん中、鎖骨の上の高さにある蝶々のような形をしている臓器です。働きとしては、代謝にかかわるホルモンである甲状腺ホルモンを分泌しています。

甲状腺炎

亜急性甲状腺炎と慢性甲状腺炎があり、慢性甲状腺炎は橋本病とも言われます(甲状腺機能異常の欄で記載) 亜急性甲状腺炎は風邪症状の後などに、発熱を生じ、甲状腺が腫れ強い痛みを生じる病気です。血液検査で炎症所見の上昇や甲状腺ホルモン値の上昇を認めます。治療は解熱鎮痛薬で対症療法を行いますが、症状が強い場合はステロイド薬を使用することもあります。予後は良好で、数週間から数か月で軽快します。

甲状腺機能異常

機能亢進症(甲状腺ホルモンが正常より多く出る)、機能低下症(甲状腺ホルモンが正常より少ない)に分かれます。

甲状腺機能亢進症の代表的な疾患はバセドウ病で、甲状腺を刺激する抗体が産生されて甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることが原因です。代謝が異常に上がるので、症状としては甲状腺の腫れ、動悸、異常な発汗、目が突出するなどを認めます。

甲状腺機能低下症の代表的な疾患は橋本病で、甲状腺に対する自己抗体により甲状腺ホルモンの分泌量が低下し、甲状腺の腫れ、だるさ、寒がりになる、浮腫むなどの症状が出現します。

いずれの疾患も診断には血液検査、超音波などを行います。治療を行うのは主に内科で、継続的に内服治療を受けることが必要となります。

甲状腺腫瘍

甲状腺の腫瘍は良性と悪性、さらに腫瘍に似た過形成に分類されます。過形成は正常組織と同じように細胞が増殖したもので良性の一種です。甲状腺の腫瘍のほとんどが「良性」ですが、悪性腫瘍である「がん」は女性に多く発見されます。ほかのがんに比べて進行が遅く、治りやすいものが多いのが特徴です。

診断には主に血液検査、超音波、CTなどを行う他、良悪の判断のために、甲状腺に注射針を刺して組織を採取し、病理学的に検査をする穿刺吸引細胞診を行うことが一般的です。サイズの大きくない良性腫瘍の場合は経過観察になることが多いですが、がんの場合や増大傾向にある良性腫瘍で悪性の存在が否定できない場合などは手術による治療を行います。一般的に甲状腺がんは化学療法や放射線療法は効きにくいといわれており、完全に摘出することが重要です。